知人から鹿肉が届いた。例年ですと鹿一頭を猟師のマサルさんから買って、友人等と分けます。今年は冷凍ストッカーが壊れてしまったので、豪勢一頭買いが出来ませんでしたが、時々知人が鹿肉や猪肉を届けてくれます。八ヶ岳周辺では鹿が増え過ぎて、農作物被害や山林の樹皮を剥かれての立ち枯れが年々酷くなっています。冬、西岳や編笠山に登ろうとすると、登山口から少し入っただけで、まるで鹿牧場の中を歩いているのかと思うほど幾つもの鹿の群れに遭遇することがあります。また家の周りでも時々鹿の群れに遭遇します。そんな訳でここ数年は通常の猟期が終わった後でも害獣駆除が続けられています。料理ですがヒレ肉はやはり刺身が美味いです。生肉ですから寄生虫の不安がないわけではないのですが、そこは下さった猟師を信用してショウガやワサビ醤油で食します。またモモ肉はステーキや蜂蜜を塗ってローストしたり、豚カツならぬ鹿カツ、焼き肉、カレーに入れて食します。山の味です。
そう言えばまだ狂牛病(最近は狂鹿病もあるとか)が流行る前、ある猟師の家に遊びに行った時に鹿の脳みその刺身を食べさせてくれました。撃ったばかりの鹿の脳みそに醤油をたらして食べるのですが、濃厚なチーズのような味で凄く美味しかったので、翌年マサルさんに一頭お願いした時に「脳みそもお願い」と、つい言ったことがあります。そうしたら捌いた一頭分の鹿肉(一頭にしてはやけに多いのですが。ある年の正月など「皮は剥いでおいたから自分で捌け」と言って持ってきてくれたことがありますが、軽トラの荷台のビニール袋から蹄の付いた足が6本も7本も出ていて「正月の鹿は足が多いダ」には笑ってしまいました。お陰でダリは骨を咥えて大喜びでした。)の他にビニールの袋に鹿の頭がごろんと2個入って届いたことがありました。日頃「鹿の脳みそは美味いぞ」と棟梁に言っていたものですから「鹿肉が届いたから取りに来て。それから脳みそも食べたかったらナタも持って来て」と言ったところ、棟梁は気味悪がって来ずに美人奥さんがハンドバッグにナタを入れてやって来ました。そして・・・。後はご想像にお任せ致します。
猟師のマサルさんは70歳位。営林署に勤めていましたが、今は営林署を辞めて猟師や山菜採りをしています。昔は北海道や秋田や群馬、静岡でも熊や鹿猟をやっていたそうで、私が群馬県沼田の熊撃ち猟師ダンゾウ(ダンゾウは谷川岳の成蹊山岳部の山小屋の近くにある国鉄の送電線見張り小屋に住んでいて、春先、送電線の見張りと言っては一人で鉄砲を担いで熊を追っていた。無類の酒好き話し好きで、高校生の頃から可愛がってもらった)を知っていたことから、時々飲み屋で猟や山の面白い話しを聞かせてもらっていますが、所謂ハンターではなくて「猟師」。それこそ毎日山に入っていて、この辺りの山のことは何でも知っています。マサルさんのことを書き出したら長くなってしまうので、またいずれ。