阿部 薫を聞きながら

ここ数日、デザインを描かねばならず、うんうん言っている。外は秋晴れ、家の中でうんうん言いながら机に向かっているなんぞ以ての外だが、仕事であるから仕方ない。ほぼデザインは出来ているのだが、イマイチ、線が面白くない。気分を変えようとiPadをスピーカーで鳴らす。曲をシャッフルして流すように設定してあるので山口百恵の次にフリージャズが流れたりする。突然もの凄いサックスの音が流れ出す。29才で逝った伝説のサックス奏者、阿部薫である。ライブを聴いたのは70〜71年頃だったと思う。山岳部の先輩であったピース缶爆弾男・マキタヨシアキが渋谷に作った『ステーション70’』でだったと思う。ただただ強烈であった。まだワタシが紅顔の美少年であった頃はフリージャズなんてものは知らなかったからアブナイ人だと思った。

阿部薫

凄い音色である。が、酒を飲まずに聴く音ではない。ましてデザインをやりながら聴く音ではない。ますます描けなくなるが、一度聴き出したら止まらない。iPadをいじってついつい何曲も聴いてしまう。今、生で聴けたらと思う。漸く興奮も収まり、再びトラディショナルを聴きながら描いていたら今度はいきなり田中角栄みたいなだみ声が叫んでいる。あぁ、坂田明である。どうも今日のiPadは仕事の邪魔ばかりする。坂田明を初めて聴いたのは71〜72年頃か、山下洋輔トリオでだった。この時も強烈ではあったが、こちらも既に学生運動の波の中でだいぶ擦れてきていたので興奮した。多分デモの帰りだったと思う。一緒に聴いていたのはスズキコウイチクンだったと思うのだが、帰りにゴールデン街で朝を迎えたのだけは覚えている。スズキコウイチクンは酒田の出身だったが、納豆ばかり食べながら、仕送りは全てジャズのレコード代に充て、大学にはめったに顔を出さずに昼間も下宿のカーテンを閉じてレコードを聴いていた。今はどうしているのだろう。

で、デザインは夕方になってやっと描きあげる。

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