アリとキリギリス

キリギリスは毎年のことだが、秋になってストーブを焚く時期になると忙しい。今年は5月に少し割っておいたのだが、その量では到底この冬を越せはしない。そんなことは端から分かってはいるのだが、暑い時期に薪割なんぞ出来るか、というのがキリギリスの性格だから致し方ない。今年は健康的に全て斧で割るつもりであったが、ここにきて仕事も忙しいので健康にはちょっと目をつぶってもらって薪割機を使う。
エンジン音がうるさいのだが、それにも目をつぶってもらう。浪人中のムスコにも手伝わせる。
ところでムスコだが、将来はジャズ・ミュージシャンを夢見て取り敢えず某芸術大学を狙っていたのだが、ひょんなことからムスコの演奏CDを聴いた彼が最も尊敬するジャズ・ミュージシャンに認められて近々上京修行することとなった。そんなわけで今年が最後の薪割手伝いとなりそうなのでこき使う。2日で一山、3ヶ月分の薪を積み上げることが出来た。あと一山作らなければ冬を越せない。来年の冬の分の薪用原木も集めてあるのだが、キリギリスはおそらく、多分、きっと今冬分しか割りはしないのである。
その点、ムスコはアリである。何でも真面目にコツコツやる。小学校から帰ったら先ず宿題をやっていた。お年玉や何かのお祝いで頂いたお金もちゃんと貯めていた。ワタシとは正反対のオメデタイ奴だ。しかし、アリならキリギリスを見て「決してああなってはいけない。ワタシは堅実な生活を目指して公務員にでもなろう。夫婦共稼ぎで子供は2人位作ろう・・・」なんて考える筈なのだが、ジャズ・ミュージシャンを目指すとはアリはアリでもきっと出来損ないアリか、不良アリなのだろう。ま、頑張ってくれ。

午後は雨となり諏訪の町に買い物に下る。1週間分の食材の買い出しを終え、帰りに茅野のBOOK OFFに寄るが人口の少ない田舎町のこと、105円コーナーの文庫本の変動はあまりない。4冊だけ買う。

隣村のマサヒコさんの新築邸に入れるステンドの磨きも終わり、夜は富士見の町にタッチャンが開いた喫茶店のドアの型紙作り。

 

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