先日何気なくテレビのチャンネルを回していたら派手なセーラー服みたいな衣装で、同じ顔にしか見えないオネーチャン達(多分あれがAKB48とかいうのだろう)がインタビューに「アーティストとして云々」と答えていた。また別の日にもみんな同じ顔に見えるオニーチャン達のグループがやはり「アーティストとして云々」とおっしゃっていた。『アーティスト』というのは確か日本語では『芸術家』と訳されているはずである。そうかぁ、彼等彼女らはみんな『芸術家』なんだ。まあ『芸術家』という肩書きには国家資格があるわけでもないから、自分で名乗っても別に職業詐称にも詐欺にもならないのであるからどうでもいいのだが、ちょっとアレである。
時々ワタクシも職業を聞かれる。30数年前、税務署で「自由業です」と言ったら「もう少し詳しく」と言われ、「ステンド・グラスなんぞを作っています」と言うと、今でもそれ程認知されたわけではないが、当時はまだまだまだステンド・グラスなんぞあまり知られていない時代だったせいか、「ガラスを吹いて作るコップとか?」と聞かれ「いや、教会なんかの窓にあるやつでして」、「そうですか、教会にあるやつですか。う〜ん、じゃ要するに芸術家なんですね」「いや、芸術家なんてそんな大それた・・・」「じゃ、アーティスト!」「いや、そんな大層な・・・」「じゃ、作家!ガラス作家!」「いや、それも・・・」「う〜ん、じゃ、ガラス工芸作家?」、「いやガラス職人でいいです」「いやいや、貴方は雇われていないんでしょ?デザインも自分でやるの?」「はぁ、全て一人で作っていますが」「じゃ、いわゆる職人でもないし、やっぱりガラス工芸家、これでいいでしょう!決まり!」となった。どうも税務署の考えはよく分からぬ。以後、適当に『自由業』や『ガラス工芸』などと名乗っているが、時には『ガラス工芸家』と名乗らねばならぬ場合もある。どうも『家』が付くのが何となくこっぱずかしい。そもそも『家』とか『士』とか付く職業というか肩書きはきちんとお天道様に正対していないというワタクシの大いなる偏見も・・・
鉄やガラスを使うクマサンこと篠原勝之氏は昔から『ゲージツカ』と称しているが、その気持ちよく分かる。
『会社員』とか『運転手』とか『大工』とか『蕎麦屋』とか『主婦』とか何となく清く正しいキチンとした職業名というか肩書きがちょっと羨ましいと思うこともある。まあ最近は『建築関係』とか『自動車関係』とか『福祉関係』とか『教育関係』とか、『何々関係』という言い方が流行っていて、分かるような分からないような職業だか肩書きを名乗る人も多いようで、これもアレではあるが、昨日まで犬以下だった人が正々堂々というか厚かましくも『政治家』なんて言っている時代でもある。