検査

昨日は3ヶ月に一度の内視鏡の検査日で、1年に一度のエコー検査もある。従って昼食抜きでオシッコを溜めて13時に病院に行かねばならぬのだが、これは結構難しいことなのである。昨年は検査の3時間前にトイレに行ってからコーヒーや水を飲んで検査に望んだのだが、膀胱にオシッコがまだ足りぬと言われたのである。で、昨日は4時間前にトイレに行き、その後はコーヒーや水をガブガブと飲み、満を持して病院に行ったのである。先ずは血液検査である。サイワイなことにワタクシの血管は太いので採血・献血何でもござれである。隣の机のオバチャンは血管が細いようで何度も針を刺されている。ワタクシの方に向かって「痛っ!もう3回も針を刺してんのよ!オジサンはいいねぇ」」と少々いらだった様子。オバチャンにオジサンと言われる筋合いもないと、「そりゃケッカン商品ですな」とからかったら、看護師のオネエサン、否、女性看護師、否、ここはやっぱり看護婦さんには大いに受けたがオバチャンには睨まれた。さて次はエコーである。5年前はこの検査で膀胱内にでかい腫瘍が見つかったのである。

馬鹿なことを思い出した。21の時、山の事故での入院中に脳波を取ったのであるが、この時の検査技師のオネエサンがそれはそれはめったにお目にかかれない程の美人であった。少なくともその時にはそう思ったのである。薄暗くした部屋で頭に沢山の電極を付けられて「はい、目をつぶって、ゆっくり息をして」と言われても、21才の男である。おまけにもう2ヶ月もベッドに寝たまま首を牽引され、天井だけを見つめる生活が続いていた頃であるから、もう心臓は興奮でバクバク音を立てている。検査後、結果を見た主治医のクマクラ先生が「ギャハハハ、こりゃ駄目だ。アンタ、アチャァ脳波がメチャクチャだよ。こりゃ駄目だ!」と笑う。「先生、いきなりあんな美人じゃ、そりゃあ脳波だって落ち着いてはいられないですよ」「タイプですか?」「はい!」で、再検査となったのだが、数日後の二回目の検査もどうせクマクラ先生が仕組んだのであろう、同じオネエサンであったが、サイワイ二回目とあってさすがに慣れたのであろう、無事「異常なし脳波」となったのである。

そして昨日であるが、サイワイなことにエコー技師さんはまあぁその普通のオネエサンであったし、こちらもカンレキ過ぎであるから心臓がバクバクすることもなく、お腹に息をため込んだり吐き出したりを繰り返し無事終了。続いて検尿であるが、ため込んだオシッコを放出してヤレヤレである。続いて今度は膀胱鏡である。待合室で座っていると「はい、オクズミさん」と呼ばれて顔を上げたらいつものオバチャン看護婦さんではなく、どう見てもまだ30にもならない、そのなかなかの看護婦さんである。ちょっと照れ。が、カンレキであるから平然を装い、検査室に入って下半身裸で電動椅子に座る。いつものモチズキ先生が来て「はい、それじゃ椅子を動かしますよ」と言ってスイッチを操作するとジーッと椅子が90度回転して下半身がカーテンの向こう側に消える。次にジーと音がすると椅子が後ろに倒れてくると同時にカーテンの向こうの下半身が持ち上げられ、おまけに足が広げられる。これはなかなかに無防備であり、アラレモナイ姿であり、慣れたくもないのだがここまでくるともう居直るしかないのである。「消毒します。はい、次は痛み止めのゼリーを入れます。ではカメラを入れます」と続き「はい、力を抜いて。口でフーフー息をして」で、お腹の中で何かが動いている感覚が僅かにあるが痛くも痒くもない。5分だか10分だかで内視鏡が抜かれると「はい、お疲れ様」に続いてモチズキ先生が立ち去る足音。「では綺麗にします」と看護婦さんの声がしてムスコを拭いて下さる。イヤハヤ何ともマヌケな姿であるが、カンレキ過ぎである。やがてまたジーッと音がして椅子が起き上がり元の位置まで1/4周して止まる。「はい、お疲れ様でした。身支度をして診察室前でお待ち下さい」で、やれやれ3ヶ月に一度の難行苦行が終わる。暫くして「オクズミさん、24番にお入り下さい」で診察室へ。ムーミンみたいなフルヤ先生が待っている。エコーの画像を見ながら「はい、綺麗ですね。腎臓も膀胱も異常なし、と、次は内視鏡はと、綺麗ですね。大丈夫再発はありません。それから血液検査、オッ、いいですね。尿検査もいいですね。ではまた3ヶ月分のお薬を出しておきます。お疲れ様でした。」で終わる。これで再発手術・抗ガン剤治療から4年と1ヶ月再発なしとまことにメデタイことである。病院のレストランは4時まで休みである。処方薬局にて薬をもらい、あまりにも疲れ、空腹なので近くの「焦がし味噌ラーメン」が評判のラーメン屋にて食すが大して美味いとも思わなかった。帰りにガン友のヨシユキさんの家に寄り、コーヒーを御馳走になりながら馬鹿話をしてから帰る。ああ疲れた。

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