夜、学生時代の旧い友、酒田のコウイチくんからひょっこりと電話がくる。卒業して暫く東京の会社にいたが、数年後に辞めて酒田に帰って以来会っていなかったから、もう37〜8年ぶりであろうか。
JAZZが好きで、仕送りでレコードを買っては大学には来ずに、昼間からカーテンを閉めた部屋でレコードを聴いていた。大学から一駅のアパートにいたので仲間がたむろすには好都合だったし、実家から送られて来るのであろう、米だけは常にあり、納豆か卵でよく食わしてもらったし、よく飲んだ。彼の部屋はいつ行っても小綺麗だったから案外清潔好きだったのかもしれない。
当然、一緒にデモにもよく行った。
コウイチくんはリーマンショック後、会社でリストラする側に立たされ、腑に落ちずに辞表を書いたという。久しぶりの電話にサワムラやミヤコ、リンダ、ヨナミネなど、当時の学生運動仲間の消息を尋ね合う。
「新聞を読んでもテレビを見ても面白くない世の中になったもんだな」と同じ言葉が出る。
「来年は会おう」と約束して電話を切る。