皆既月食が始まった。ワタクシはそれほど興味があるわけではないが、まぁ話しの種にとカミサンとムスメに同行して散歩に出る。
半分ほど欠けている。言っちゃ悪いが不気味である。古代の人にとっては『悪い事の前兆』と考えられても仕方ないなどと話しながら片方が林の斜面、片方が田圃の間の舗装道を登っていたら、林の斜面でガサゴソと大きな物音。ライトを向けたら30mほど離れた処で6つの小さな青白いものがこちらを見ている。つまり3匹の生物がいるというわけである。目の高さから考えると、背の高い奴ではない。ということは鹿ではない。そのうち彼等が動いたのであるが、「バキッ」「ボキッ」と倒木の折れる音や「ガサゴソ」と下草を踏みしだく大きな音がする。かなりの大型動物である。絶対鹿ではない。鹿はあんなに大きな音をたてない。とすると敵は熊か猪であるが、猪だったら「バキッ」「ボキッ」というような大きな倒木を、あの蹄のある足で踏み折るとはちょっと考えにくい。近くには大きな栗の木もある。やはり小熊2頭と親熊かもしれないと咄嗟に考える。「ヤバイ、ゆっくり逃げろ!」。ノンキなカミサンは「逃げたら追ってくるんじゃない?」と全くノンキである。「じゃ、そこにいたら!」と言いながら三人で後ずさりする。時々ライトを向けるが追ってくる気配はない。ヤレヤレ怖かった。やっぱり皆既月食なんざあ、不吉なことが起こるのである。
今年の県内では熊の出没が例年の倍くらいとのことで、富士見町にも出ている。町の有線放送でも注意喚起が流されている。ダリを連れていても、因業オヤジとなった最近の奴なら立ち向かうどころかご主人様を人身御供にして逃げ帰るにきまっている。暫く夜散歩は御法度のようだ。