昨夕、オリイさんが沢山の大根を届けてくれる。オリイさんはもう80近い小柄なオバチャンであるが、カミサンが指導しているコーラス・グループでいつも元気いっぱいの方である。家庭菜園、といっても結構な広さの畑で採れた野菜や自家製の梅干し、味噌、紫蘇の実漬けをご主人運転の車で時々届けてくれる優しい人である。数日前にも沢山の白菜をいただき、漬けたばかりである。小梅の梅干しは子供の毎日の弁当の必需品であるし、紫蘇の実漬けは酒の肴に絶品、味噌はもうこの味に慣れ親しんでいて、オリイさんの味噌でないと物足りなくなっている。
ワタクシが彼女を知ったのはもう30数年前に手作りの家を建てた時である。とにかく金が無かったので、水道は本管から400mほどを自分で掘って、塩ビ管を何十本も継ぎ、本管との接続とメーターだけは業者に頼んだのだが、ガスはそうもいかない。そこで町に一軒だけあったガソリン・スタンドに頼んで、プロパンの調整器を借り、ボンベは家の中に置いて風呂釜と台所のレンジに直結して使っていた。本当はイケナイのであるが、昔の話しであるから数年間はボンベが空になったら自分の車で取りに行っていたものである。この時スタンドに勤めていたのがオリイさんであった。いつもニコニコした優しいオバチャンで「早くオヨメサンを見つけなさい」が口癖で、お茶時にはお菓子に呼ばれた。数年後、お金が貯まったのか風呂ボイラーや台所のレンジを入れ替えた時にガス配管して貰ったので、それからはオリイさんにはめったに行き会わなくなっていた。
それが10年ほど前、カミサンがコーラス指導を始めた時に、「オクズミさんって、烏帽子にいたオクズミさんの奥さん?」ということからカミサンもワタクシも可愛がって下さり、いつも美味しい物にありつけているのである。
で、頂いた沢山の大根であるが、昨年作って美味しかったので今年も沢庵を漬けることになったのである。カミサンも
昨年の経験から少しは人類としての進化することをワタクシは少し期待したのだが・・・今年は毎夕の『マヌケなお猿の籠や』をせずに夜も干したままにするということで・・・どうなるやらであるが、1月が楽しみである。