昨日の朝のダリ散歩、鹿がどうしているのかと対岸の護岸沿いの藪のイバラに体のあちこち引っかかれながら上流に歩くが見えない。一カ所ビッコの鹿でも護岸を登れそうな場所があるのでそこから脱出したのだろうとほっとする。
夕方のダリ散歩。家の脇の橋を渡っていたら下で物音。覗いたら例の鹿がいる。
もう動く気配もない。悲しげにこちらを見る。
このままでは餓死するしかないが、もう夕方である。もう一晩様子を見ることにする。
今朝の散歩でミヨコさんに行き会う。「まだ鹿が橋の下にいるんだけど・・・」と二人で覗くが見えない。そのうち10mほど離れたやはり河川敷の藪がモゾモゾ動く。右前足だけではなく、後ろ足も痛めた様子でノソノソと藪を這いだして堰堤の上を対岸に渡り始めるが途中でスリップして2mほどの堰堤から転落する。ミヨコさんはもう見ていられないと顔を背ける。やっと対岸に渡った鹿は堰堤下の草むらに座り込んでしまった。役場で対処出来ないのなら、もう猟友会に頼むしかなさそうであるが、あの目をみてしまうとなかなか電話する勇気が出ない。
それでもこのままでは苦しませるだけである。猟師のマサルさんに電話する。事情を話すと「可哀相でもそりゃもう自然界では生きていけずに苦しませるだけだ。誰か行かせる」とのこと。暫くして幾年か前の正月元旦にマサルさんと一緒に鹿肉を届けてくれた(正月の鹿は足が沢山生えていてなぁ〜、と言って山ほどの肉を届けてくれた)ヤマシタさんともう一人の猟友会の人が来てくれる。鹿は猟友会のオレンジ色のチョッキを見て必死に逃げるが、川の中ほどで立ち止まったところでライフルで引導を渡される。成仏してくれ。
ワタクシも協力してロープを掛けた70Kgほどの鹿を3人で護岸の上まで引き上げ、猟友会の人のトラックに載せる。右前足も後ろ足も骨折している様子。蹄も長く伸びていて、もう随分前に前足を痛め歩けなくなったのだろうとのこと。「この鹿の肉はもう固く黒くなって食べられないので埋めてしまうが、猟期が始まったら新しい鹿肉を届けるので、それを食べてしっかり鹿達の供養をしてやって欲しい」と言われる。
ヤマシタさんは獣害駆除といっても目を合わすとためらうことがあるという。だけど県内には10万頭位はいて、そのほとんどが雌であることから、年間4〜5万頭駆除しなければ作物被害は増え続けると言われているが、とてもじゃないとのこと。
熊に関しては八ヶ岳に一体何頭位いるのかも分からず、檻を仕掛けて入るのは発信器を付けていない熊ばかりであり、熊棚の数からしても、罠に掛かった鹿を食い荒らしていることからも相当数いるのではないかとのこと。また八ヶ岳の熊は人に慣れておらず、今後人的被害の怖れがあるので気を付けて欲しいとのことであった。皆既月食の時の話をしたら、そりゃそれだけの音を立てたのなら子連れの熊でしょうとのこと。当分は暗くなってからの散歩はしない方がいいよとのことであった。