今朝仕事場に入ったら何となく生臭い。なんとも言えぬ嫌な生臭さである。ひょっと入り口近くに置いてある冷凍ストッカーを見ると、そのドアの下に血だまりがある。恐る恐るドアを開けてみたら冷凍庫の底にどす黒い血が溜まっている。ギャア〜である。
止むに止まれずに奴を殺してバラバラにしたはいいけれど、捨てるに捨てられずにストッカーに・・・ではなく、昨冬に猟師から貰った我が家の大切な保存食である『鹿肉』が融けて、その血が流れ出したのである。ラップに包み、ビニール袋に入れてあったのであるが、他の食品を取り出す時に袋の上下が逆さまになったり、冷凍されてカチカチになった食品同士がぶつかってビニール袋に穴が開いたりしたのであろう。
以前にもカミサンがドアをきちんと閉めずにパーにしたことがあったが、今回は冷凍ストッカーが壊れたのかもしれない。
鹿肉10Kg近くを全て廃棄する。その他の肉や魚もパーである。欲深いカミサンは、いただき物の『フカヒレの旨煮』や『角煮』などは熱処理され密封されていたのだから大丈夫と冷蔵庫に避難させる。
それよりも掃除である。既に血だまりが乾いている部分もある。生臭さと闘いながら拭いたり、こそげ落としたり、水を含ませた紙を貼り付けたりと悪戦苦闘。
で、思い出したが、もう10年近く前、漁協経営の釣り堀の駐車場にビニールシートで包まれた大型冷蔵庫が捨てられていたことがあった。おまけにそのビニールシートはまるで菓子箱を包むようにきちんと折られ、ご丁寧にもガムテープで目張りまでしてあった。どう考えても異常である。この中にはきっと死体がと考えた釣り堀管理人は警察に連絡すると共に、漁協の主だった役員を呼集。駆け付けた警察は「う〜ん、これは、そのぅ、やっぱり事件性があるので我々では開けられぬ。鑑識を呼んだけれど、今別の現場に行っているので到着までしばらく待って欲しい」と言われる。2時間近く待ってようやく鑑識が到着。皆が見守るでなか慎重にシートのガムテープを剥がしていざご開帳。バラバラ死体が出てくると覚悟して緊張の一瞬であったが、中に入っていたのは腐った肉のパックや野菜。悪臭立ち込めるなか、笑うに笑えぬ一件であった。