ダリのその後は、元気になったことは佳きことであるが、ウルサイ、ワガママ、キコエナイフリである。老人と全く同じである。
とにかくウルサイ。朝、ワタクシが起きてきて新聞を読み始めようものなら「ワンワン、メシ、サンポ!」と鳴き喚く。以前はワタクシの朝食が終わって、靴下を履くまではじっと我慢していたことであるが、カミサンが甘やかして散歩の前に犬缶なんぞを与えたからである。人様の朝食前に自分だけ食べようなんてフトドキであるが、ウルサイので一口犬缶をやって黙らせる。つい1ヶ月前は吠えることも出来なかったのにである。
さてワタクシが朝食を終えたのを見ると、またぞろ鳴き喚きだす。顔を洗っている間じゅうワンワンである。
靴下を履きいよいよ散歩に出るが、ものの50mも歩くと都合の悪いことに桑の木があり、もっと悪いことに今年は豊作である。こうなると動かない。草の間に落ちている桑の実を食べ尽くすまで鼻面を押し付けている。呼べど叫べど無視である。ま、以前から桑の実とアケビは大好物であり、木の上のアケビはまだ進化していない奴では採れないが、桑の実は唯一自分で採れるスイーツなのである。雨が降っていようが食べ尽くすまで無視である。こちらは蚊を追い払いながらひたすら待つしかない。ようやく食べ尽くすと歩き出すが、以前だったら大キジ打ち(そのぅ、出すものを出す作業のことを言う登山用語。因みに女性の場合はお花摘み)は道から外れた人様の邪魔にならない場所まで行ってからしていたのに、最近は道脇でやりやがる。仕方ないから始末はワタクシの仕事となる。
で、やっと食べ終わり、100mほど歩き隣集落への上り坂に差し掛かるとこちらに向かって「ワシ、もう帰る」と目で合図を送り、サッサと家に向かって走りだす。ワタクシと違って『登る』という崇高なる哲学は未だに持ち合わせていないのである。で、ワタクシは運動不足になるのでウォーキングは続けているのであるが・・・
途中で「ダリ」と呼んでも知らんぷり。「待て!」と命令しても止まりやしない。口笛を吹くとチラッと振り返るがやはり止まりやしない。
家に帰ってドライ・フードをムシャムシャと食べた後は直ぐに寝る。ぐっすり寝入る。
夕方の散歩もほぼ同様な展開の後、夕食としてのクッキーを食べた後も「ちょっと小キジ」だの「眠れないからちょっとワシを撫でろ」とか面倒くさい。
というのが日々の現状である。『末期の肺癌?騒ぎ』以降急激に歳をとったようである。ま、犬様であるから「ワンワン」程度であり、人様のようにあれこれとは言わないのが救いではある。
明日からムスメも居なくなる。老犬と前期高齢者、カミサン頼りである。