この間は『巻いて・巻いての日々』を送っていた。この『巻いて』はカットしたガラスの周りに銅箔の裏に粘着テープが付いた物を貼り付ける作業であるが、数十枚ならそれなりに楽しい作業であるが、数百枚、或いは数千枚となると苦行である。音楽を聴いたり、テレビを横目で見たり、コーヒーを飲んだり、禁断の煙を吸い込んでみたり、眼薬をさしたり、ストレッチをしてみたりしながら巻き続けるのである。
おまけに漁協の人事をやらねばならなかったり、病院では全身のCTを撮ってもらったり、医者からは「数字がまた上昇していますな。もっと歩け!」と言われたり、「本日JAZZ宴会!4時集合!」との声が掛かったり、ドジな娘が2段ベッドのハシゴで足を滑らせて肋骨を2本以上折って帰省したり、葉ワサビの花が咲いて「そろそろ漬けたら」と呼びかけてきたりと、みんなして邪魔をしてくるのである。
で、様々な妨害を受けながらも、漸くこの苦行から解放されホッとしているところなのであるが、この間横目でテレビを見ながら感じたことは、国会は中学生の生徒会レベル(決して高校レベルではない)、ワイドショーの司会者は「我こそ正義」とひょっとして本気で思っているらしく、出てくる政治評論家は井戸端会議のボス程度。ただただウルサイ芸人の学芸会に・・・若者が既にテレビ離れしているのは何故とは思わないのかと不思議である。
誰もが『引き受けず』に、『真善美』という人間の理想であるはずだった価値概念を一切忘れ去った先に何が待っているのだろうか。