現在の仕事は別荘のエントランスに通じる引き戸H2000W600が4枚である。8月中には終わらせる予定が急性副鼻腔炎以来、遅れに遅れているのでクライアントのコマイさんには大変申し訳ないのであるが、どうも身体が元に戻らず、「さあヤルゾ!」という気力が沸いてこない上に、当初のイメージがちょっとズレているのである。
当初、設計図段階で大まかなデザインを頭に浮かべるのであるが、実際に家が完成して他の装飾品(今回は吹き抜け2階の階段の手すりやシャンデリアが強い)が入ると、図面上のイメージと大きく変わることもある。正に今回は違った。
手すりの鉄で作られた自由曲線がワタクシが当初イメージしたよりずっと強く、それ故引き戸のデザインが合わなくなってしまったのである。
サイワイといってはクライアントに申し訳ないのだが、この間の時間を使ってガラスの強度テストというか、ガラスが最も不安定な凸凹型を引き戸に使えないか試しながら、あーでもないこーでもないとデザインをいじっていたのである。
で、なんとか自分の中でこれなら『イケル!』というデザインを描き上げたのであるが、今度は4月に買い込んでおいたガラスでは使いたい種類のガラスが足りなくなってしまったのである。これはヤバイ!ちょうど大阪のガラス屋の社長から「なんぞ必要なガラスおましたら買うてくれへんか」という電話があったので型番を伝えると「ホンマすいません。そのガラス在庫あらしませんね」とのこと。名古屋のガラス屋の在庫表をネットで調べてみても△印でほとんど在庫がないようである。ヤバイ!電話してみる。「もしもし、◯◯ありますか?」「う〜ん、在庫表で△ならあってもフルサイズの板はないと思いますが直ぐ調べて電話します」とのこと。10分後「お待たせしました。それが先日入荷したなかに6枚入ってました!」とのこと。ラッキー!ヤレヤレである。
この「ガラスを探す」のがこの仕事ではなかなかに大変なのであるが、今回のクライアントのコマイさんは全くツキまくっている。既に納めた引き戸の上の作品で使うガラスや、今回使うガラスは4月に買い込んだのであるが、その時も入荷翌日だかで必要なガラスがほぼ一度に入手出来て「ラッキー」と喜んだのであるが、今回デザインを変えたことによって不足していたガラスも入荷直後で入手出来たのである。
ステンド用のガラスはアメリカやドイツやフランスで作っているのだが、色や模様や透明度、手焼きや機械焼きなどなどの様々なガラスが数千種類だかある。デザインする時は頭の中にそのガラスをイメージして描き、今度はガラス屋で1枚1枚を実際に選んでくるのだが、輸入に頼っていることから在庫がない場合は下手すると半年待ちなんてこともざらにあるのである。おまけに国内需要が減ってきているのかガラス屋の在庫がどんどん減っている。今回は正にラッキーなのである。
今回使うのはクリアー(無色)のリーミー(流れ模様のあるガラス)とクラッケル(ひび割れ模様というか揚げ煎餅の表面みたいな模様のあるガラス)というガラスを主体としているのだが、色も付いていないが結構な値段である。機械で焼いた同様な模様のガラスなら半額か1/3の値段で買えるのだが、どうしても手焼きと比べるとガラスの表情が面白味に欠ける。但し手焼きガラスは大体に於いて反っているし、厚みも一定ではなく、カットするにも難しい。その上、高いガラスになると30cmx30cmで1万円なんてのもある。おまけに様々な形にカットするのであるから、難しいカットをするとガラス面積の半分以下しか使えないということもある。後はクズである。(尤も高いガラスのクズは大切に保存しておくのだが)
ガラスというのは重いし、割れるし、時には手を切るし・・・切り損ねたら接着出来ないし・・・う〜ん、そこにいったら鉄なんてタダみたいに安いし、間違って切っても溶接出来るし・・・粗忽な人向きで・・・ウソです!。アタッシュケース一つで何億円となる宝石商なんて・・・クソクラエで・・・