仕事で使う全紙大(A0とかB0の)クラフト用紙がなくなってしまったので、もう35年も買っていた諏訪の紙問屋に電話しても通じない。おかしいなと思ってネットで調べたら昨年放漫経理がたたって倒産したと出ている。昔は良かったのだが、最近は確かにちょっとひどくなっていた。一度倉庫を引っ越した後は特にひどく、端が痛んだ紙も平気で出してきたりしたのである。
でも、こりゃ困ったとネットで新たに探したやはり諏訪の紙問屋に電話したら用意しておいてくれるとのこと。早速訪ねたら事務の女性が愛想よく迎えてくれ、倉庫へと案内してくれる。ここで担当の男性が山と積まれた紙の山からバラ売りできる全紙大クラフト紙をフォークリフトでパレットごと降ろしてくれる。ただ残念なことにワタクシが欲しい紙厚のものより薄い紙しかない。紙の厚みは蓮量といって1000枚の重さで表されるのだが、ワタクシが欲しいのは149Kgのものであるが、残念ながら70数Kgの厚さの紙しか在庫がないとのこと。注文すれば取ってくれるとのことだが、問屋であるから申し訳ないけれど一束というか150枚ほどの梱包となってしまうとのこと。150枚というと約150㎡分である。この先何年仕事出来るか分からぬが、150㎡分のステンドは・・・。それに全紙大のクラフト用紙を平らにして保管しておくのも150枚となると・・・「う〜ん」と困っていたら、近くの紙屋さんなら在庫があればバラ売りしてくれるかもしれないと、とても丁寧に場所を教えてくれる。もしそこに無かった場合に備えて70数キロの紙を10枚だけお願いしたのだが丁寧に梱包してくれ、事務所の女性も恐縮しながら領収書を切ってくれる。一緒に行ったカミサンもその親切さ丁寧さに感心している。
教えてもらった紙屋に行くと幸いなことに在庫があり149Kgのクラフト用紙をちょっと高かったが買うことができてほっとする。
その後食料品などの買い物をして、BooK Offにて10冊ほどの文庫本を買ってから帰ったのであるが、しばらくて紙問屋から電話。「あのう、149kgのクラフト紙ありましたか?」とのこと。「幸い在庫があり助かりました。親切に教えて下さってありがとうございました」と伝えると、嬉しそうに「それは良かったですね。もし無かったらと思ってあの後もあちこち探したんですが、やっぱり149Kgは無くて・・・ただ107Kgならあったので少し薄いのですが、もしお困りならと思って一応ご連絡させていただいた次第で。でも、本当に良かったですね」とのこと。
きっとバラ売りできるクラフト用紙がないか伝票を調べたり、フォークリフトで探し回ってくれたのだと思うとその親切に嬉しくなる。
普段食料品を買うスーパーや、ホームセンターなどの店員はパートばかりなのだろうが、「親切」に出会うなんてことはまずない。そこにいくと紙問屋やガラス問屋は誇りを持ってその商品を扱っているのだろう。客の立場になって一生懸命探してくれたり知恵を貸してくれる。昔はスーパーではなく「商店」だったのであるからやっぱりずっと親切だったと思う。この先、「親切」がもっと失われていくのだろうと思うと寂しいことである。