『棄民』

明日未明に2020年のオリンピック開催地が決まるという。日本は福島第一原発からの汚染水漏れを各国から指摘されて、慌てて450億円だかの税金を汚水漏れに充て、「政府主導であたるから心配ない」と言い出した。だが政府主導だからと言っても技術的に可能かはまだ未知数である。また「忍者ハットリくん」みたいな顔をしたどこぞの知事は「汚染水漏れに関してアフリカ諸国は何も言っていない。これはヨーロッパ諸国が東京に仕掛けたネガティブ・キャンペーンだ」と言い放ち、オリンピック招致委員会の某理事長は「東京は福島からは250Kmも離れているから安全だ」と言う。

もし東京で開催されることが決まれば東京では一斉に工事・工事となるであろうが、遅々として進まない復興に、福島の人達にそれはどう映るのであろうか。TBSの報道番組に出て来た元酪農家は「東京で開催されたとしたら、それは福島の人間から見れば『東京という別の国』で開催されるようなものだ」と言っていたが、それが今なお、いや生きている内には自らの土地に戻れない福島の人々の率直な気持ち、漁に出られない漁民の率直な気持ちではないのか。それでは正に『棄民』ではないのか。『ネガティブキャンペーン』だの『福島から250Kmも離れているから安全だ』なぞと平気で言いながら汚染水を海に出し続けている『日本』という国は唯一の被爆国ではなかったのか。広島も長崎もビキニ環礁も水俣も忘れたのであろうか。
たとえ東京開催と決まったとしても福島の人々の気持ちを逆なでするような発言が相次ぐのでは、原発事故の被害に遭った人々の『棄民』意識は拭えないと思う。

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