冬というか晩秋というか我が家のアマリリスが今年も咲いた。この鉢植えは26年前にアッチの世界に行ったオフクロが東京の家で育てていたもので、その後21年前に一人暮らしがしんどくなったオヤジと共に我が家に引っ越して来た鉢植えである。カミサンが管理していて、夏場はデッキに、秋からは家の中の日当たりが良い場所に入れて居るのだが、毎年この時期になると大輪の花を咲かせる。このアマリリスの正式名称は大輪八重咲きアマリリス:アフロディーテと言うらしい。これから暫くはいくつかの蕾が次々と咲く。鉢に水を張って切り花を浮かべて置いてもしばらくは楽しめる。カミサンに言わせると「すごい生命力。まるでオカーサンのよう」とのこと。オフクロは、当時は不治の病と言わていた悪性リンパ腫で余命3ヶ月を宣告されたのだが、始まったばかりの血液ガンに対する抗がん剤治療を受け(抗ガン剤の組み合わせが試行錯誤されていた時期)、11年という当時の最長不倒を生きたのである。当時の抗ガン剤治療の副作用は今とは比べものとならないほど強かったようだが「私はガンに対して頑張って戦おうとは思わない。医者を信じ、なるようになると思っているだけ」とよく言っていた。主治医はとても温厚な方で、手の中で温めた聴診器を長時間当てては適切な診断をして下さった。「聴診器というのは凄いもので、データでは分からない様々なことが分かるのです」とよく言っていた。おかげで2〜3年に一度、数ヶ月入院してはこのきつい抗ガン剤治療を受けた後、免疫が上がってくるとほぼ自由な生活に戻れ、その間はオヤジや姉と数ヶ月の海外生活(オヤジとは3ヶ月のフランス生活、姉とは1ヶ月半のフィンランド生活等)を楽しんだりしていたのである。毎年アマリリスが咲くとオフクロを思い出す。
69歳でアッチに行ったが、あと半年でワタクシも同じ歳になる。
反対にオヤジは「ガンなんて取っちまえば治る」といたって好戦的で、脳と肺と食道・小腸・直腸以外の消化機のほぼ全てを切除し、腎臓片方・前立腺も切除し、肝臓ガンの上、骨盤も大腿骨にも転移したのによく食べ・よく飲み・よく吸いは83歳の最後まで続いた。
さてはてワタクシはどちらに似ているのやら。